病棟日記 その1  

アンユージュアルな体験
入院1日目

実家の階段から転げ落ちた。
午前3時。なぜ起きたかは覚えている。隣室の琥白(柴犬)が吠えたので、そこへ向かったはず。が、気づいたら階下にいた。
寝ぼけて足を滑らせたのか、貧血で気を失ったのか、とにかく転落の直前から直後までの記憶が全くない。なんとか這って玄関先までたどり着いたらしい。

介護をしに来ている場所で自分の介護が必要となった場合、さあ、どうする⁉️

どうしようもないわ‼️
救急車に来てもらう。

ピーポーピーポー!

ご近所の声(おそらく)
「あら、あそこのお爺ちゃん大丈夫かしら」
My内なる声
「すいません、お騒がせしておりまーす。
娘の方でーす。」

その後の記憶は断片的。
コロナでどこも大変やのに申し訳ないなぁ。寝返り打てへんなぁ。気持ち悪ぅ。保険証は…など、とりとめなく。ともかく未明からずっと付き添ってくれている娘に感謝。

あれこれ検査を受けた結果、背骨が破損、脳にも出血がみられるとのことで、入院決定。もう、覚悟決めるしかないわねぇ。。。

その日の夜もなかなかアンユージュアルな夜であった。やっと眠りについたと思ったら、「おしっこ〜 おしっこ〜」の声に目が覚める。お隣さん、ずっと叫んでらっしゃる。けど、看護師さんが来る様子はなし。早く早く〜と私が焦る。そのひとつ向こうの病床ではご婦人が誰にともなく「どうしてなんですか?」としきりに疑問を呈してらっしゃる。私もどうしてこうなっちまったのかと、つい気持ちが後ろ向きになる。

天井しか見ずに運ばれてきたので気付かなかったが、どうやらここはスタッフステーション(もうナースステーションとは言わないのね)の中に設けられた、スタッフの目が一番届く場所であることが、後日わかった。また、おしっこはちゃんと管に繋がれていた。でもご本人にその自覚がなければ、やはり焦るよね。管の存在を知ってからも、催す気持ちはずっと伝わってきて辛かった。そして遂に「おしっこー」が「たすけてー」の連呼に変わった時は、思わず自分のナースコールを押してしまった。ごめんなさい。新参者の余計なお世話だったかな。でも、隣人の助けてーって叫びは、なかなか無視できるものではない。
こうして入院第一夜は悶々と更けていった。

つづく