川島家のシークレット(4)

正月過ぎから頑張って実家じまいに励んでいるけれど、「それがお前の本気か?」と我が身を叱咤せざるを得ない状況だ。タンスの奥や戸棚の中から着手しているものだから、見た目がな〜んも片付いとらん。むしろ掻き出しているぶん、とっちらかっとるよ!

遅々として作業が進まぬ原因は物の多さだけではない。そう、手に取るものに い・ち・い・ち 感嘆しているからだっ。

たとえば、コチラ。
エントリーNo.4『やたらかっこいい表紙

背表紙が渋いねー。あたしゃあんたの背中に惚れたんだよ。印字が食い込んでる感じ?活版印刷っていうのかな。この手作り感、重厚感がたまらないね。
中身は ラ・・ヴィエデ・・・ナンチャラカンチャラ。1行足りとも理解できないどころか読めもしないけどさっ。

安心おし。あんたを見捨てやしないよ。


さて、そこまで(表紙に)惚れ込んだのだから、せめて何の書物かぐらいは把握しておくべきであろう。Wikipediaによると、こちら3部は、国際法の発展に大きな影響を与えた18世紀の国際弁護士エムリッシュ・ヴァッテルの国際法に関する法的論文とのこと。
(てっぺんのVATTELって人名だったのね)

と、父の書斎でこの本を手にし、背表紙を撫でたり、パラパラめくったり、調べ物をしたりして費やした時間はおおよそ5分。この調子で一品一品感慨にふけっていたらどうなることか。
ここは現実的な数値をはたき出して我に返るよう自身に仕向けたい。

たとえば川島家の蔵書。すでに段ボール箱4つ分の書物は処分したが、述べ1万冊は下らない。
5分x1万冊=50000分は、およそ833時間。
24時間寝ずに片付けしても34日かかる。
本だけで。


何に出会っても、心を殺すしかない。

つづく