明けない夜はない

キャンバスの質感も含め、色の配置や濃淡、
筆の置き方次第で思いを表現すること〜
抽象画を私はこんな風に解釈しているのですが、

『Prealba=夜明け前』(作者の造語)
と名付けられたこれらの絵に、私はしかと
作者の意図を感じることができました。

『藤原みどり個展』


10余年ぶりに京都で個展を開催するという
お知らせをいただき、さっそく三条通りにある
ギャラリーモーニングさんを訪ねました。

写真ではその迫力がなかなか伝わらず
残念ですが、ヘンプ(麻)生地に描かれた
アクリル絵の具の躍動感が、時に大胆に、
時にセンシティブに、我がイマジネーションを
掻き立ててくれました。

100 年に一度のパンデミックの嵐が吹き荒れ、
10年前の日常が嘘のように感じます。
でも、生きているからこそ前を向いて進みたい、
明けない夜はないのだから、と強く願い
踏ん張っています。
そして「どこ吹く風?」と何も変わらず
語りかけてくれる木々や川や空が
私の周りにあります。
動じない大自然の力強さ、激しさ、そして
静けさを伝えたい、豊かな四季の潔く深い空間や
奥行きのある風景を表現したいと、
夜明け前”Prealba”の希望を込めて描きました。
           藤原みどり

藤原みどりさん。
これまでにも数々の個展をはじめ、
全国各地の展覧会に出展されている画家。
そして私に言わせれば、
彼女は彼女の描く絵のまんま
正真正銘のナチュラルウーマン!

実は、幼い頃一緒にお絵かき教室に
通っていました。今回ウン10年ぶりに
再会を果たした幼馴染みです。

あの頃から、私は感じていた。
彼女のただならぬ才能を。
横で同じモチーフを模写しているのに、
彼女の絵は私と全然違う!
私はひたすら上手く描こう上手く描こうと
苦心しているのに、彼女の絵はとにかく大胆。
多少いびつであっても気にしない。
子供の目からすると”へたくそ”なのに、
なぜか先生に褒められる。
どうして???と思っていた謎と結論が
しっかり今、解明&証明されているわけです。

正直、幼馴染み云々を抜きにしても
私は彼女の絵が大好き。
知らない画家さんであってもきっと
魅きつけられたと思います。
理由はわかりません。ただ、好き。
眺めていると、そこにストーリーや
音楽が芽生えてくる絵。
波長が合うのでしょうね。
芸術ってそんなものですよね。
音楽もしかり、どんなに芸術性が高く、
ハイクオリティーで著名な作品でも、
見た瞬間、聞いた瞬間、
好みによって受け止め方が違いませんか?
よりパーソナルな作品ほど、好き嫌いも激しい。
けど、それが本来の芸術の姿なのかも。

この日は、みどりちゃんの描く絵にぴたっと
波長が合ったついでに、短時間でいろいろ
お話もさせていただき、
人間としての波長も合うな〜と再確認。
明けない夜はないと励ましあいながら、
またの再会を誓ったのでありました。