母の勧めで、幼い頃からTV放映のたびに観ていた映画の中で、特に感銘を受けたのが「サウンド・オブ・ミュージック」と「ウエスト・サイド・ストーリー」でした。この両作品は、私にとってのミュージカル入門というべきか、その後、ミュージカルというジャンルを違和感なく受け入れられるようになった記念すべき作品のように思います。だって、セリフの間に突然歌が始まって、また語り出すって・・・どう考えても不自然じゃないですか。でも、音楽と演劇のクロスフェードがいかに感動を及ぼすものかという事を、私はこの両作品に学んだ気がします。
こと「ウエスト・サイド・ストーリー」においては、そこに躍動感あふれるダンスが加わる。幼心にも ”カッコいい!!”という羨望の眼差しがまず先にありました。シャーク団のリーダー、ベルナルド役のジョージ・チャキリスに、時代を超えて恋してしまったのは、母からの遺伝子経由だけでないのは明らか。
そんな永遠の名作「ウエスト・サイド・物語」のリメイク版を、あのスティーブン・スピルバーグ監督が手がけたというじゃないですか。2022年版です。見届けないとね。次世代に繋げるためにも。というわけで、娘を連れて劇場へ。
(↑チケット代より高かったパンフレット)
久しぶりに劇場でハンカチ取り出しました。
娘は私より先にお鼻ぐちゅぐちゅ。彼女にはミュージカルとだけ告げていたため、てっきりアナ雪系ハッピーエンドだと思っていたらしく、エンドロールの頃には呆然としておりましたが、名作と言われる所以がわかった。と、深く何度もうなずきながら感慨深く申しておりました。
彼女と行ってよかった。この作品を母から受け継ぎ、次の世代に繋げられてよかった。そう思わせてくれたスピルバーグ監督はじめ、新作「ウエスト・サイド・ストーリー」の出演者、並びに制作陣のみなさんには、ただただ、感謝の一言です。
ミュージカルの舞台は未経験ですが、映画版においては、さあ、あの大作をどうリメイクして変化させたのだろうかと、正直、恐る恐る出かけたところ、原作に誠実でありながら、ごくごく自然に新風の勢いと新鮮さが感じられる出来栄えでした。どう変わったのか・・・なんて、全くの愚問であったことを反省。だって、あのアーサー・ローレンツの原作・脚本と、レナード・バーンスタインの音楽は変えようのない唯一無二のケミストリーである事をスピルバーグ監督自身が百も承知なわけですからね。その上で映画界の傑作に踏み込んだ監督は、やはり只者ではないですね。あくまでも私の主観ですが、スピルバーグさんは継承したかったのではないかなと思います。1960年代の名作をエターナルなものにするために。
観ていて気づいたのですが、この映画のテーマは、現代の世の中が抱える問題にも通じており、根底にある愛を軸とした物語の問いかけは時代を超越しています。そうなんですよね。これは、そもそも永遠に受け継がれるべき作品なんですね。オリジナル映画版と共に、スピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」も映画史に残ること、間違いないと思います。
最後に、観終わったあと知ったのですが、あの人が、あの役で!!!!
というサプライズがあって、なお、余韻もひとしお、感動的なものとなりました。