万年筆と文香

ひさしぶりに万年筆と便箋を取り出して
お礼のお手紙を認める。
漢字を忘れていたり間違ったりで、
思うように筆が進まず、
いかに手書きから遠のいていたかを
思い知らされる。
改めて姿勢を正し、
真剣に向き合う時間となった。

ドイツの小学校では筆記用具は
万年筆のみだった。鉛筆は使わない。
もちろんシャーペンも。
つまり、一度書いたら消せない。
消せないから間違えられない。
間違えられないから真剣になる。
国語の時間も算数の時間も
ずっと習字の時間みたいな。(笑
さすがに昔の話だろうと思っていたら、
今もそのようだ。
すばらしい教育文化だと思う。
中指にはいつも青いペンだこができていたが、
慣れてくると紙の上を滑るペン先の感じが
とても心地よかった。
万年筆と筆記体はすこぶる相性がよい。

だからという言い訳にはならないけれど、
文字同士が繋がらない日本語を
万年筆で書くのは難しい。
横線が一本つぶれたり、文字の大きさが
まちまちになって不恰好。
書き終えた手紙を見返して、ため息。
なめらかとは程遠いのである。
いや、私の字が下手すぎるのである。
寺小屋の時代に生まれたかった。

悪筆のせめてものつぐないに、
封筒に文香をそっとしのばせる。
「ふみこう」と呼ぶ。
京都の香老舗「薫玉堂」さんで
調香体験をして以来のご縁。
今回は薫玉堂さんの白檀の文香(画像真ん中)
が、残り一個、”かわず”さんだけに
なってしまったので、
試しに他店のものをネットで注文。
こちらは白檀をベースとした天然香木を調香
ということで、どこか華やかな香りが。
これもまたよし。包みも可愛いい。

再度文香を手に入れたことで、
手紙を書く機会が増えて、
字もうまくなりますように。