乃東が芽を出し始める頃
冬至を迎え、今年も残りわずかとなりました。あたりはすっかり冬景色。あらゆる草花が枯れゆくこの頃に、ひっそりと芽を出し始める植物があります。それが、「乃東(なつかれくさ)」。「靫草 (うつぼぐさ)」の古名です。
靫草は、日当たりの良い山野の草地に群生し、6月~8月頃に紫色の花をつけます。花穂(かすい)の下の方から咲いていき、いちばん上の花が咲く頃にはすでに下の花は茶色く枯れ始めています。そして、夏の盛りには花穂だけがすっかり枯れてしまうことから「なつかれくさ」と名付けられました。
枯れて茶色くなった花穂は、別名「夏枯草(カゴソウ)」という生薬名も持っており、その漢方としての万能性は対の候となる第二十八候「乃東枯 (なつかれくさかるる)」でご紹介した通り。では、枯れてしまわないと口にできないのかと調べてみると「ウツボグサの食し方」が見つかりました。若葉、若茎は生のまま天ぷらにしたり、塩茹でにしてお浸し、油炒め、胡麻和えなどに。花穂も天ぷらや、酢の物にして味わえるようです。むずむず。やってみたい。しかし、同属の似たような植物もあるので、見分け方が難しそう。もっと自然の中へ繰り出して、もうちょっと野草に詳しくなってから、ぜひトライしたいものです。
さあ、もうすぐクリスマス。クリスマスは、もともとあった冬至を祝う風習とキリストの誕生を祝う祭りが融合したものだといわれます。冬至が始まるということは、これから日が長くなり、春の準備が始まるという事。また冬至は「一陽来復」ともいいますよね。悪い事が続いたあと、ようやく幸運に向かうことのたとえ。あらゆる草木が枯れるこの季節に早くも芽吹く「なつかれくさ」は、私たちに春の希望をもたらしてくれます。