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東風解凍
暖かい春風が吹き、川や湖の氷を解かし始める頃
「東風」。ここでは「はるかぜ」と読んでいますが、一般的には「こち」と読みます。まだ冷たさの残る早春の風のこと。中国で古くから親しまれる陰陽五行思想では、春を司るのは東の方角とされており、春風を東風と呼ぶようになったそうです。よって、中国から入ってきた七十二候の暦にもその名残が。

東風は、梅東風(うめごち)、桜東風(さくらごち)、雲雀東風(ひばりごち)など、春のさまざまな事象と組み合わせて呼ぶことがあります。頭に持ってくる言葉によって、情景はもちろんのこと、風の感触までもが微妙に違って感じられる、日本らしい表現ですね。その他、真っ赤な椿が咲く日に吹けば椿東風(つばきごち)、サワラ漁が始まれば鰆東風(さわらごち)などもあります。〇〇東風と、自作の表現を創作してみても楽しいかもしれません。

「東風」といえば学問の神様、菅原道真公が詠んだ和歌が有名ですね。

“東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな” 

現代語訳: “春風が吹いたら、その香りを(京から大宰府まで)風に乗せて送っておくれ、梅の花よ。主人(菅原道真)がいなくなったとしても、春を忘れないでおくれ”

あらぬ罪を着せられ、太宰府へ左遷される事になった菅原道真が京都を離れる際、日ごろ愛していた梅の木に別れを告げたこの歌。その後この梅は一夜にして、大宰府にいる道真のもとへ飛んで行ったという「飛び梅」の伝説も語られています。植物は愛を注ぐと、その愛にしっかり応えてくれる。その見事な例ではないでしょうか。

梅というと、その花の美しさはもちろん、上品な香りも魅力的。いまも昔も、視覚だけでなく、嗅覚でもひと足早く春を感じさせてくれるのが梅の花です。一説によると梅の花は朝の時間帯に最もフレッシュな香りを放つそうです。お出かけの際は、ぜひ早起きして、東風を胸いっぱい吸い込み、早春のさわやかな香り堪能しましょう。

まだまだ寒い日が続きますが、暦のうえでは もう春です。
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