虹を見かけなくなる頃
二十四節気は立冬から小雪(しょうせつ)になりました。いよいよ雪の文字が登場です。雨が雪に変わる頃、また少し冬が深まりますね。どんよりとした曇りがちの日も多くなります。
さて、虹は空気中の水滴に太陽の光が反射して生まれる現象なので、昼が短く日差しも弱いこの時期は虹を見る機会も少なくなります。たとえ虹が現れたとしても、夏空のようなくっきり鮮やかな虹ではなく、ぼんやりとした淡い虹。すぐに消えてしまう儚さがあります。すぐに消えてしまうけど、心に鮮明に残る虹。俳句の世界では「冬の虹」という季語で表現し、この言葉には儚さだけでなく、かすかな希望も込められています。
昔の人は白くぼんやりと見える虹を「白虹(はっこう)」、または「霧虹(きりにじ)」と名付けました。消えゆく虹や、見えない虹にも情緒を感じるとは、なんて繊細なんだ日本人!形あるものの背景や、残像の奥深くにまで思いを馳せる事ができる(はず)なんですね、私たちは・・・。
これから本格的な冬を迎えるにあたって、見えなくなるものもあれば、澄んだ空気の中で鮮明に目に映るものもあります。例えば遠くの山々や地平線、夜空の星々など。疲れた心を癒してくれる素材はこの季節にも豊富です。冬の訪れも安心して迎えましょう。ただ、次第に冷え込みは厳しくなってくるので、今のうちに寒さへの備えは整えておきたいですね。