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金盞香
水仙の花が芳香を放ちながら咲き始める頃
ここで言う「キンセンカ」は、あの車輪のような円い花を咲かせる「キンセンカ」のことではなく、香り高い冬の花、「水仙(スイセン)」のことです。その昔、中国では水仙の花の中央、黄色い部分を金盞(きんせん)、つまり黄金の杯に見立て、その周りの白い花弁を銀台、つまり銀の台に例え、水仙のことを金盞銀台(きんせんぎんだい)と呼んでいたそうです。雅な呼び名ですね。
一方、「水仙」という漢名は「水辺の仙人」に由来します。水辺に咲く姿と上品な芳香が、あたかも仙人のように感じられるところから、こう呼ばれるようになりました。
学名は「Narcissus(ナルキッソス)」。こちらは、ギリシア神話に出てくる有名な美少年の名前に由来します。ナルシストの語源ともなった彼にまつわる神話は、何通りかストーリーがあるのですが、いずれも結末は、水鏡に映った自分の姿に恋をしてしまい、そこから離れることができなくなり、やがてやせ細って命を落としてしまう。そして彼が座っていた水辺には一本の水仙が咲いた~というもの。だから水仙は水辺であたかも自分の姿を覗き込むかのように咲くのだといわれます。仙人のようであり、ナルシストでもある水仙。なかなか底知れぬ魅力のあるお花ですね。花言葉も「神秘」(または「自己愛」)。

開花時期は11月半ばから3月頃まで。結構長く楽しめる花ですよね。寒さにも強いです。

水仙や寒き都のここかしこ
(与謝蕪村)

寒き都とは、京都のこと。底冷えする京の冬景色に凛とたたずむ水仙の姿。これからの季節は美しさも香りもより際立つ頃ではないでしょうか。特に日本に自生する小ぶりなニホンスイセンは日本の気候風土にしっかりなじみ、寒い中でもよく咲きます。よって、水仙は別名「雪中花(せっちゅうか)」とも呼ばれます。

様々な別名を持ち、様々な横顔を見せてくれる水仙。その楚々とした美しさを静かに鑑賞しながら、本格的な冬の訪れを心豊かに迎えたいものです。


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