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水始涸
田んぼの水を抜き、稲刈りの準備を始める頃
「水始涸」は、日本では水田の水を抜き、稲刈りに備える頃という、農事と結びついた解釈となっていますが、七十二候の元となる中国の古典では、夏の陽気が衰退し、水が枯れ始める頃という、秋の情景そのものをさしています。たしかに、夏の瑞々しい緑や湿潤な空気感とは違ってきましたね。乾いた空気と、どこか閑寂をまとったような景色。そこにまた「もののあはれ」を感じてしまうのが日本人。秋が深まるとますますその思いは濃くなります。


しかし、稲作農家の方々はそんな情緒にひたっている暇もないでしょう。大事な収穫の時期です。稲の刈り入れが終わると束ねて稲木にかけ、天日干し(最近は機械で乾燥させるそうですが)、その後は脱穀。振り返ってみるとこの一年、春先の種まき、苗作りから始まって、田植えに肥料やり、台風への備えなどなど。私たちが日々当たり前のように口にするお米を作るには、八十八の手間がかかると言われています。(米という字は八十八の組み合わせ)。「一粒の米にも万人の労」。いただく側も一粒も無駄にはできませんね。私たちにとっては大事な大事な主食です。

週末は各地で稲刈り体験を楽しむ子どもたちもいるのではないでしょうか。貴重な食育体験ですね。収穫の時期を迎えて、美味しい新米は日本列島の南から順に市場に出回っていきます。各地で恵みに感謝する収穫祭が行われるのもこの時期。各々の食卓では茶碗によそった秋の味覚に両手を合わせて心から感謝、美味しくいただきましょう。
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