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蟄虫坏戸
寒さを覚えた虫たちが冬ごもりの支度をはじめる頃
冬支度といっても生き物によって越冬の仕方は様々。カマキリやコオロギは卵を産んで次の年へと新しい命をつなぎ、モンシロチョウやアゲハチョウの幼虫はサナギになって寒さに備え、てんとう虫やクワガタは成虫のまま土の下に潜って来年の啓蟄まで静かに春を待ちます。



そんな中、「蟄虫坏戸」の「とをふさぐ」のイメージにぴったりなのはミノムシではないでしょうか。小枝にぶら下がるミノムシをみつける度に、子供心にあったかそうだなぁ~と感じたものです。 しかし最近はあまり見かけなくなりましたね。なんでも外来種のせいで数が減り、場所によっては絶滅危惧種に指定されているとか。昔懐かしの風景が一つまた一つと消え去っていくのは寂しい限り。



それにしても、もう冬支度ですか・・・。いつも自然界は人間界より一歩先をいきますね。いや、もう少し虫の声は聞いていたいな。やっと訪れた秋ですから。それに私たちには虫の声を情緒としてとらえる能力が備わっているのです。虫たちも鳴き甲斐があると思うのだけれど。 
そう、日本語で育った人は、虫の声や小川のせせらぎなどの自然界の音を「言語脳」の左脳で聞く。つまり、言葉と同じように意味のあるものとして処理します。一方、西欧の人などは、虫の声は「音楽脳」である右脳で処理するので、虫が鳴いていても虫の声だと気づかなかったり、あるいは雑音としてインプットされるらしいです。
あの「ひふみん」の愛称で知られる将棋棋士の加藤一二三さんが、かつて対局中に旅館の人工滝の音が耳障りで集中できず止めさせたというエピソードがあるのですが、滝の音も言葉として聞こえていたら、そら集中できませんよね。
ちなみに、自然音を言語脳で受け止めるというのは、日本人だとか日系人だとかいう「血筋」や「人種」の違いではなく、日本語を母国語として最初に覚えたかどうかという点で決まるらしいですよ。そもそも日本語には自然との対話を可能にさせる、何か特別な響きが宿っているのかもしれませんね。これからも虫の音を声として聞き入る文化を大切にしていきたいものです。

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