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綿柎開
綿の実を包んでいた萼が開きはじめる頃
「柎(はなしべ)」とは、花の萼(がく)のことです。
綿(わた)は、一般的に5月頃に種を撒き、6月にかけてゆっくりと成長。7月から9月にかけてハイビスカスのようなクリーム色の美しい花を咲かせます。やがて花がしぼむと、実を包んでいた萼がはじけて、中からフワフワの白い綿毛(わたげ)が顔をのぞかせます。この萼がはじけたままの姿は「コットンボール」とも呼ばれ、花材としても人気がありますよね。あのモフモフ感が可愛らしく、シーズンがくると我が家のリビングにもインテリアとして飾っています。純白の綿毛と茶色くなった柎のコントラストが、いかにも秋冬らしい風情。ドライフラワーですから、お掃除の時にホコリだけ気をつけてとってあげれば、いつまでも持ちます。



綿が日本にやってきたのは8世紀頃、インドから種子がもたらされたのが最初だといわれています。しかし当初はまだ栽培までには至らず、盛んに栽培されるようになったのは16世紀以降。綿毛を紡いでできる糸や木綿の布は、丈夫で耐久性に優れていることから、戦国時代は武将たちの「幕」や「旗指物(はたさしもの)」に。江戸時代に入ると、農民たちの着物に使用されるようになりました。綿製品は通気性がよく、肌触りも滑らかでストレスフリー。オーガニックコットンなどは今でも人気ですよね。うちの母などはいまだに「直接肌に触れるものはコットン100%であるべき」論を崩しません。ただ、現在種子をつくる綿花は日本ではほぼ生産されていないのが残念なところ。
(ちなみに綿は、植物としての呼び名は「わた」、製品になると「めん」と呼ばれます)

さあ、「綿柎開」は二十四節気「処暑(しょしょ)」の初候。綿の萼がはじけ、綿菓子のようなコットンボールに出会うころには、朝晩の風にも秋が感じられそうです。
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