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寒蝉鳴
ひぐらしが鳴く頃
「カナカナカナ」と鳴くヒグラシの声はどこか物悲しく、夏の終わりを告げるような寂寥感がありますね。セミとは思えないほど高く澄んだ声は、切なくも涼しげなので、つい遅咲きの花のように、晩夏に登場するセミと思いがちですが、実際はもう7月くらいから鳴き出しているようです。ただ、蜩(ひぐらし)は、日暮(ひぐらし)とも表記するように、暑い日中が苦手。涼しい日の出前や日暮れによく鳴きます。よって私たちが耳にするのもそういった時間帯が多いわけで、ヒグラシの声を聞くと「ああ、涼しい」「もう秋かしら」と感じるのは一種の刷り込みがあるからかもしれません。

セミの鳴く順番をみてみても。
4月下旬頃「ゲーキョゲーキョ」と鳴き出すトップバッターはハルゼミ。6月頃からは「チィー」と鳴くニイニイゼミ。そして7月頃からヒグラシ登場。7月中旬、盛夏を迎えると「ミーンミーン」のミンミンゼミ。同じ頃、「ジリジリ」と暑さに輪をかけて鳴くのがアブラゼミ。 7月下旬から8月上旬にはクマゼミの鳴き声も加わって、晩夏はツクツクボウシ。「ジー」というイントロからはじまって、テンポを上げながら盛り上がり、最後は長く尾を引いてフェイドアウト。この声を聞くと、ああ、夏も峠を越したなと感じますね。こうやってセミのリレーみると、ヒグラシの走順は早めですが、秋にかけて気温が下がってくるとヒグラシは日中でも鳴くようになるので、いずれにせよ、季節の移り変わりを知らせてくれていることに間違いはないですよね。
やはりヒグラシの声は、去りゆく夏を惜しみながら聞くのが一番。俳句の世界でもヒグラシは秋の季語になっています。
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