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款冬華
ふきのとうが出始める頃
1年でいちばん寒い季節となりました。厳しい寒さの中、そっと黄色いつぼみを出すフキノトウ。「款冬」とはフキのことで、その花のツボミの状態が“フキノトウ”。「款」には「叩く」という意味があって、フキは冬に氷を叩き割るようにして出てくるので「款冬(かんとう)」という異名がついたとか。また、冬に黄色の花を咲かせることから、冬黄 (ふゆき) がつまって「ふき」になったといわれます。植物のネーミングもなかなか奥が深いですね。

フキノトウは、数少ない日本原産の山菜。雪解けを待たずにひょっこり顔を出すことから、“春の使者”とも呼ばれています。寒さがピークを迎える「大寒」に 春の使者フキノトウが充てがわれた七十二候。先人たちの春を待ち焦がれる思いが込められているかのようです。実際のところ、春一番、最も早く口にできる山菜がフキノトウ。冬ごもりから出てきた熊がまず最初に口にするのもフキノトウといわれています。あの独特の香りとほろ苦さ。大人になってようやく私もその滋味と季節の風味をありがたく感じることができるようになってきました。

あのほろ苦さには、食欲を増進させる作用があるといわれ、冬の間におとろえた体を目覚めさせてくれます。また、フキノトウは咳止め・咳痰・健胃・浄血・毒消しなどの薬効があることでも知られています。「春の皿には苦みを盛れ」といった先人の言葉に間違いはなさそうです。天ぷらや炒め物、煮びたし、お味噌汁の具材にしても美味しいです。

真冬に限らず、冬から春へと季節が移り変わるタイミングも体調を崩しがち。ここはフキノトウ・パワーでもって、万全の体調で春を迎えたいものです。冬の終わりは春の始まり。雪解けを待たずに顔を出す春の使者は、今まさに凍てつく土の下で着々と春の支度を進めています。
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