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雉始鳴
雉の雄が求愛のために鳴き始めるころ
実際に鳴き始めるのはもう少し後で、3月から4月ごろ。早春の発情期に「ケーン、ケーン」と甲高い声で求愛。この雄叫びの後、「ホロロ」と羽根を打ち鳴らす一連の動作は、オス同士の縄張り宣言でもあるのですが、一生懸命やってもなかなか振り向いてくれない、つれないメス。そこからケーン、ホロロ。ケーン、ホロロ。→「けんもほろろ」という慣用句が生まれたのだとか。ああ、切ない。命がけなのに。そうなんです、けんもほろろな求愛行動は大変な危険をも伴うのです。

雉は古くから狩猟の対象とされてきました。狩られる側としては、とにかく目立ちすぎ。「私、ここにいます!!」と自ら居場所を示しているようなものですよね。このアピールが仇となって、しばし命を落とすことも。「雉も鳴かずば撃たれまい」ということわざは、こんな雉の習性から生まれました。「不要なおしゃべりは災いを招く」という意味合いです。お喋りじゃないの、子孫繁栄の為なの、と代弁してあげたい。
さらには、「頭隠して尻隠さず」という諺。これは危険を感じた雉が草むらに隠れても、はい、残念!長い尻尾が出ているよ~見えちゃってるよ~というところからきた諺なんですって。
ここまでくると、ちょっと待って~!確か雉さんは国鳥だよね?もう少し敬って差し上げてもよいのでは?と同情してしまいます。

しかし、こういった色んな例えの元となるくらいに、雉は身近な鳥だったのでしょうね。「桃太郎」では唯一固有名詞で登場しますし、昔は鳥肉といえば雉を指したほど。宮廷や貴族の間では美味なるご馳走として好まれ、切身を焼いて熱燗の清酒をかけた「御雉子 (おきじ)=雉子酒(きじざけ)」は、天皇が正月の祝いに用いたとされています。雉の旨みが浸み出して、コクのある旨い酒だそう。ヒレ酒やコノワタ酒を凌ぐ旨さと言いますから、いつか絶対トライしてみたい。もちろん、大切な命をいただくことに感謝しながら。

さあ、正月も締めくくりの小正月。年神様をお送りして、新しい年を元気に歩み出しましょう。
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