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乃東枯
靫草(うつぼぐさ)が枯れていく頃
乃東(なつかれくさ)とは、冬至に芽を出し、夏至に枯れる靫草 (うつぼぐさ)の古名。ウツボグサの名は、武士が矢を入れるため腰にさげた筒状の武具、「靫(うつぼ)」に似ていることから名付けられました。靫は、矢が雨で濡れるのを防ぐため、猪や熊などの毛皮で仕立てたものもあり、それがちょうど植物の穂のような形に見えたので、「空穂(うつぼ)」とも書きます。行ったり来たりしますが、整理すると、日本最古の矢入れが、植物の穂に似ていたので「うつぼ(靫/空穂」と呼ばれるようになり、今度は植物である乃東(なつかれくさ)の茶色く枯れた姿が、その武具に似ていたため「靫草(うつぼぐさ)」とネーミングされた。というわけです。

さて、前置きが長くなりましたが、本日の主役は靫草。5月半ば頃、円筒形の花穂の下から順に紫の花を次々と咲かせ、梅雨を越し、強い夏の日差しが照りつけるようになると花は枯れ、茶色い麦の穂のようになります。咲き出した花と枯れ始めた花が一本に同居する草なので、見た目の注目度はいまひとつ。人気者とは言いがたいですが、生薬としては万能薬なんですよ!花が終わると枯れたようになった花穂が残るので、漢方では「夏枯草(カゴソウ)」という別名を持っています。茶色くなりかけたころの花穂を干し煎じて飲めば、利尿・消炎作用があり、煎液は、ねんざ・浮腫の塗り薬として、また抗がん作用、ヒトエイズウイルス増殖抑制効果の報告もあるようです。英名は「heal all = 全てを癒す」。すご~い。頼れる~!コロナウイルスも撃退してくれないかしら。これからのシーズンとしては、夏のお茶として飲むと暑気払いに。また夏風邪のお薬としても活躍してくれそうです。もっとお近づきになりたい植物ですね。
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