We propose healing and learning to make your life a little more colorful
水泉動
凍っていた泉の水が融け、動き始める頃
今は1年のうちでもっとも寒さが厳しい「寒のうち」。そんな体を刺すような寒さの中、冷たく澱んでいた泉に温かみが出てくる。ほんのり「春」が顔を出す時季だよ~と教えてくれる侯です。目には見えずとも地中では少しずつ春に向かって小さな変化が訪れているのですね。わずかな変化も見逃さない先人たちの観察眼に感心させられます。「動」の一文字に「あたたかをふくむ」という意を込めたセンスも素敵。

温かを含んで動き出したこの時期の水は、「寒の水」と呼び、薬になるといわれています。寒さで細菌の繁殖が抑えられるからということで、温度が低く、安定した寒の水は、餅をつくにも、お酒を造るにも、薬を飲むのにも、特別の効き目を発揮するそうです。寒仕込みのお酒やお味噌がおいしいといわれるのも頷けます。

さて、この時期のおいしい旬の味覚といえば、「金柑(きんかん)」。実家の庭に植わっていた金柑の木。子供の頃は隣の柿の木やイチジクの木とくらべると果物という認識が薄く、実がなってもさほど気にも留めない存在感でしたが、大人になってからは毎年実を結ぶのを楽しみにしていました。あの控えめな甘さと酸味とほろ苦さ。大人の舌には癖になります。面倒くさがり屋の私はそのまま丸ごと口に放り込みますが、マーマレードにしたり、甘露煮にしても美味しいですよね。焼酎につけて、金柑酒にすると、より香りを楽しめます。金柑といえば、のどあめ(ノーベルも是非(笑))も有名なように、咳やのどの痛みに効果があるのですね。また、金柑の皮には風邪予防に効果があるビタミンCや、抗アレルギー作用、さらには、発ガン抑制作用となる成分も含まれているそうなので、食べる際はぜひ、皮ごと!

さあ、季節はこれから最も寒さの厳しい大寒へと向かいます。ちょうど寒中水泳や寒稽古などが行われる時期でもありますが、こういった鍛錬法を実行する勇気も根性もない私は、ひたすら旬のもの~寒仕込みのお酒&お味噌&金柑~のお世話になって、元気に冬を越したいと思います。
Ikukology
TOPへ