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雷乃発声
春の訪れとともに、初雷が鳴り出す頃
立春後に初めて鳴る雷のことを「初雷(はつらい)」、春に鳴る雷のことを「春雷(しゅんらい)」と呼びます。春の雷は夏の雷とは違い、そう激しくはなく、一つ二つ鳴ったかと思えばすぐ止むような短い雷。これでもって、春の到来を知らせてくれます。

雷の語源は「神鳴り」。つまり、神様の鳴らす音。そして、その神様とは雷神。日本画の「風神雷神図」などを見ると、雷神は背中に太鼓を背負い、それを打ち鳴らす鬼として描かれています。見るからにコワイ。また、打ち鳴らす「神鳴り」も、空気がビリビリ振動するほどの爆音で、これまたコワイ。雷神の存在を信じていた昔の人は、よほどおっかなかったでしょうね。そこで「くわばら くわばら」という落雷よけのおまじないを唱える慣わしが生まれました。「くわばら」を漢字変換すると一発で出てくるのが「桑原」。語源は人名か?それとも地名か?これは一説に、平安時代、太宰府に左遷された菅原道真の怨霊が宮中に雷を落とし、その中で唯一道真の領地であった「桑原」という土地だけ雷が落ちなかったという話に由来しているそうです。「桑原町」。京都市中京区、京都御苑の真南に現存しています! しかし住民ゼロ。どうやら道路のみが存在している、町というよりかは地名として生き残っている場所のようですね。今度御苑を訪れた際に立ち寄ってみようかしらと思いましたが、航空写真で見てみると、ビュンビュン車の走る丸太町通の路上の一角じゃないですか。くわばらくわばら。



さて、そんな恐れ入るカミナリ様ですが、ちょうどこれからは稲が育つ時期。雷が多い年は豊作になると言い伝えられているように、昔の人は「雷光が稲に当たると稲が妊娠して子を宿す」と考えていたようです。だから「稲妻」の語源は「稲の夫(つま)」(昔は男女ともに配偶者のことを「つま」と呼んでいました)。面白いですね。いや、実際のところ、雷の多い時は降水量や日照、気温など、稲が育つための好条件が揃うのだそうな。実体験をもとに巡らせた想像力と言葉遊び。やっぱり昔の人は偉かった。
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