土が湿って、蒸し暑くなる頃
梅雨の湿気を帯びた大地に、強い陽射しが照りつけるころ。暑気が土中の水分を蒸発させ、草むらからはむっとするような夏の匂いがたちこめてきます。これが「草熱れ(くさいきれ)」。「草の息」とも呼ばれます。土が熱気を発することや、熱そのものは、「土熱れ (つちいきれ)」。では、アスファルトの場合は何と呼びましょうか。「アスファルトいきれ」。う~ん、ピンときませんね。息づいている感じがしません。暑さ寒さも、やはり自然を介するほうが伝わりやすいですね。
それにしても、この四文字はわかりやすい。「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」。 特に「むしあつし」の部分の漢字「溽暑(じょくしょ)」はサウンド以上にむわ~っとした感じが伝わってきますよね。意味は~湿気の多い暑さ~。潤と溽。氵の文字が二つ並んで、湿度マックスの七十二候です。
さて、日本には三つの夏があるそうです。ひとつは5月の「爽やかな初夏」、ふたつ目は梅雨時の「うっとうしい夏」、そして三つ目が盛夏の「うだるような夏」です。「うだる」を辞書で引くと「暑さのため、からだがぐったりする」こと。「ゆだる」に同じとありました。「ゆだる」を調べると、「湯で十分熱せられる/ゆであがる」。例文:「ジャガイモがゆだる。」とありましたが、この時期はまさにゆであがったジャガイモ気分をリアルに実感しますね。ジャガイモ、もしくはタコ。どちらもゆがくと美味ですが、私が茹で上がっても誰も喜んではくれないだろうから、ゆだらないよう気をつけなければ。
溽暑の頃、少々バテ気味な人間とは逆に、草木は真夏の元気な日差しを浴び、ますます緑を濃くしていきます。