麦が熟し、畑一面が小麦色になる頃
麦が金色の穂をゆらす5月下旬から6月初旬を「麦の秋」または「麦秋(ばくしゅう)」といいます。季節は初夏なのに、秋…??麦にとってこの時期は収穫の秋なので、そう名付けられました。梅雨間近に「秋」という文字を見ると、鬱陶しい雨の季節も暑苦しい夏も素っ飛ばして、一気に秋が来てくれるといいのになぁと思ってしまいます。
麦秋の候には、「麦」に因んだ言葉がたくさん。たとえばこの頃、麦の穂を揺らしながら吹き渡る清々しい風は「麦嵐(むぎあらし)」。または、「麦の秋風(あきかぜ)」。その風にそよぐ穂は「麦の波」。わ~、涼しげな情景が目に浮かびますね。短い言葉で瞬時に風景を連れてきてくれる日本語って、ほんとすばらしい!さらに、麦の種まきや刈入れにぴったりな日は、「麦日和(むぎびより)」。雨が降れば、その雨は「麦雨(ばくう)」。雨にまで「麦」がついて、麦尽くしの季節です。それだけ昔は作物と人の営み、そして自然との結びつきが強かったのでしょうね。
梅雨が訪れる前の束の間の好季節。麦日和の日は外に出て、お日様と麦の秋風を満喫したいもの。ただし、6月の紫外線もあなどれません。小麦色の肌にならぬよう、ルフィーのように麦わら帽子でも被っておでかけしましょうか。